送別会

同僚の送別会の準備をしている。

本人は引っ越しの準備で何かと忙しいようで、日程もなかなか決まらない。

グルメな人なので、好きなお店を選んでいいと言ったのだが、いつもは何かとうるさい彼も自分の送別会ともなるとなかなか選びにくいようだ。

日程や場所についても、まわりは本人の都合に合わせますと言い、

本人もまわりの都合を気にしているので、決まらない。

どうぞどうぞお先にどうぞ、と誰もが譲り合っている状態だ。

本人も何やらもじもじしているので、

「たまには誰がどう思うか気にしないで、自分の心の声を聴いて決めなよ!」

と言っておいた。

翌日、改めて回答を聞くと、おずおずと自分の望みを伝えてくれた。

なんとも弱々しい言い方で。捨てられた子犬のような目をして。

「ねぇ、いま頭の中で何人くらいの声が聞こえたの?」と尋ねる。

「うーん、、6人くらい」と答える同僚。

「聖徳太子かよ!それほど賢くもないくせに、なに多くの人の声を同時に聞き分けてるわけ!?」と軽く暴言を吐きつつ突っ込んでみたが、

普段職場ではいじられキャラで、多くの話題と笑いを提供している同僚が、

心の中では、誰かに嫌だと思われたらどうしようという恐れが強く、そのため自分の意見を後回しにしがちなことを知っている。

だからこうやって自分の望みを伝えることさえ躊躇する様子に、少し切なくなる。

もちろん、そのあり方も素晴らしいし、それは何よりあなたが優しい証拠なのだけれど。

それでも、みんなあなたを喜ばせたくて、望みを叶えてあげたいのだから、

私達に気を遣うよりも、あなたが心から喜んでくれる方が、私達にとってはよっぽどうれしいことなのだと

それを伝えてから、送り出してやろうと思う。

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